みんなマスクで怖くない
兄は、なんだかひどく忙しそうで小声で、疲れ切った感じだった。
一段落のたびに、「じゃあな」と切ろうとする。
もう、今日の外来は終わった頃。
以前のように、笑い声を聴かせる余裕もなく。
感染が、拡大している。
今日、ちびねこの面会に自由が丘から中目黒まで乗った快速特急。
真後ろに、こっち向いたまま、ずっと鼻水と咳の外国人男性。
もちろん、混んでいたから、動くこともできず。
今後二度と、快速特急には乗らない、と固く誓った。
家族と相談し、六本木で引き返して、帰宅。
ちびねこ、ごめん。
でも、先生に何かあったら、ちびねこどうなる。
お風呂に入り、バスタブに浸かるまで30分はかけて頭からつま先まで泡だらけにして何度も洗った。
着ていた服を全部洗い、持ち物も靴も除菌。
玄関のドアノブから触ったところ全部、除菌タオルで拭いて回った。
でも兄は、事情を話し、熱計ったら今のところ平熱、と言うと、
「その人は、マスクしていた?」
「うん、私もしてた」
「どっちも? じゃ、大丈夫だ」
と、こともなげに。
一気に、安心。
かすった程度で、濃厚接触とかおしゃべりとか、たしかにしてない。
密、だっただけか。
明日、念のためにもう一度、熱を計ろう。
シンガポールは、帰国したら14日間、自宅隔離。
その間に政府の人が来て、ちゃんといるかIDカードと本人確認。
政府から電話も何度もあり、その度にビデオコールでちゃんと部屋にいるか、部屋を映して見せなきゃならない。
いなかったら、捕まって牢屋に入れられる。
それでも、日本が感染者野放しと知って、
「怖い」
たしかに、外出できないね。
死ぬのも覚悟じゃないと。
どっちがより怖い状況かといったら、日本だ。
7月まで自粛していれば、そして入国者を全員14日間隔離していれば、コロナに勝利宣言できたはずだった。
それまでの自粛生活の補償も、GoToの予算で賄えたでしょうに。
その後は、わざわざ予算をかけなくとも、経済社会は従来通りに戻る。
むしろ反動で、より活性化したに違いない。
その間に、秋への病院の準備も整えられたのに。
お兄ちゃん、頑張れ。
今夜は、新曲。
何を作ろう。
9時過ぎには、取りかかれたらいいな。
今はまだ、頭を空っぽにして、食後ののんびりタイム。
ゲームとテレビと猫とネットと家族と。
いつもは、時間できた。さあ何か、と思って時計を見たら、もう10時半を回っていたりする。
そんなに夜更かしも許されないし。
それでも、毎日作曲し続けられて、感謝。
大切なもののために願掛けすると、続くなあ。
コーヒー断ちとかより、毎日作曲継続、の方が、形になって残っていくから楽しい。